ソーシャルジャジメントシステム 廣田晃崇のマンション管理ブログ 夢はでっかく根はふかく

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第45回
分譲マンションにおける民泊新法への対応
 

民泊新法(住宅宿泊事業法)が今年6月15日に施行され、分譲マンションにおける対応が注目されています。

民泊新法では、「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」「住宅宿泊仲介業者」という3者に対して一定の役割や義務等が定められています。

分譲マンションの区分所有者が、自分が所有する住戸で民泊を行う場合は「住宅宿泊事業者」にあたり、下記のような条件をクリアする必要があります。

@都道府県知事等への届出
A年間の提供日数の上限は180日
B家主居住型の場合、衛生確保措置(宿泊者1人当たり3.3u以上など)、宿泊者に対する騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示等を行うこと
C家主不在型の場合、住宅宿泊事業者に対し、上記措置(標識の掲示は除く)を住宅宿泊管理業者に委託すること

さらに、自治体の条例による上乗せ規制があり、例えば都内の港区では住居専用地域の家主不在型は春/夏/冬の休み以外民泊営業を禁止、大田区ではホテル、旅館の建築が可能な用途地域でのみ営業を認める、などとしています。

民泊新法の施行に向けて、多くの分譲マンションでは対策を講じてきました。
その一端が、公益財団法人マンション管理センターが7月27日に公表した「民泊対応状況管理組合アンケート調査」からも伺えます。

この調査は、同センターに登録しているマンション管理組合を対象に、Web上で今年6月15日〜7月6日に行われたもので、有効回答数は105 組合でした。
主な結果は次のとおりです。

●住宅宿泊事業法による民泊の取り扱い

回答した管理組合のほとんどは民泊禁止の取り決めを行っており、民泊を認める管理組合はありませんでした。ただ、中には何も定めていない管理組合、総会で結論が出るまでの対応として理事会で禁止を決議した管理組合もありました。

民泊への対応状況

@民泊は全面的に禁止した

101

96.2%

A民泊のうち、一部を許容した

0

0.0%

B民泊は全面的に許容した

0

0.0%

C何も定めていない

3

2.9%

その他

1

1.0%

合計

105

100.0%

●規定方法
民泊を禁止するにあたって、管理規約で規定する管理組合が4分の3を超えています。
そのほか、規約で規定する前提で理事会決議を行ったり、使用細則で規定したり、総会決議で方針を示している管理組合もあります。

規定方法

@管理規約で規定した

77

76.2%

A使用細則で規定した

2

2.0%

B総会で方針を決議した

10

9.9%

C理事会で方針を決議した
(次の総会に管理規約の改正等をする予定)

12

11.9%

D理事会で方針を決議した
(管理規約の改正等はする予定はない)

0

0.0%

E理事会で方針を決議したが、管理規約の
改正等はできなかった

0

0.0%

その他

0

0.0%

合計

101

100.0%

●全面禁止とした理由
全面禁止とした理由では、「騒音やゴミ廃棄等の生活上の迷惑行為の懸念」「防犯・安全面の懸念」の2つが過半を超えました。
その他の理由には、「住居専用のマンションとしていること」「資産価値の低下の心配」などが上がっていました。

全面禁止理由(自由記載したものを分類)

騒音・ゴミ廃棄など迷惑行為の懸念

67

66.3%

防犯・安全面の懸念

57

56.4%

不特定多数の立入りによるいざこざ

21

20.8%

外国人利用に対する懸念
(意思疎通が困難、生活文化の違い等)

4

4.0%

不安感

4

4.0%

共用施設の管理の支障

3

3.0%

その他

100

9.9%

合計

101

100.0%

 

●違法民泊の状況
実際に違法民泊が行われているかどうかについては、回答した管理組合の9割近くは「行われていない」と答えています。
しかし、約8%の管理組合で、違法民泊が行われている(疑いがある)と回答しており、今後が注目されます。

違法民泊の状況

@行われていない

92

87.6%

A行われているようだが確証はない

6

5.7%

B行われており確証がある

2

1.9%

Cわからない

5

4.8%

合計

105

100.0%

 

●違法民泊への対応状況
違法民泊への対応としては、「民泊禁止の掲示をした」「部屋の区分所有者に注意をした」が多く、警察や保健所への通報はありませんでした。

違法民泊対応(複数回答)

@部屋の区分所有者に注意した

4

50.0%

A部屋の宿泊者に注意した

0

0.0%

B民泊禁止等の掲示をした

6

75.0%

C警察に通報した

0

0.0%

D保健所に通報した

0

0.0%

E利用禁止を求めて提訴した

0

0.0%

F何もしていない

1

12.5%

その他

1

12.5%

合計

101

100.0%

 

いまはまだ、民泊新法が施行されたばかりです。分譲マンションで民泊を行おうと考えている区分所有者の多くは、様子見のところもあるでしょう。

管理規約の改正など形式面を整えるとともに、今後も違法な民泊が行われないように、普段からの注意と適切な対応に心がけていくべきだと思います。