最近、分譲マンションの大規模修繕工事に関する新聞記事が増えているように感じます。
少し前になりますが、2018年3月27日付の日本経済新聞(日経)朝刊で「マンション75%修繕不安」という大きな見出しの記事が掲載されました。
内容は、日経が不動産情報会社の協力を得て、全国の分譲マンションの1割にあたる1万4000棟の修繕積立金を分析したところ、約1万500棟(75%)が国の目安を下回っているというものです。
特に、約900棟あるタワーマンションは8割弱が未達で、国の目安の半分に達していない物件も1割あったとしています。
国土交通省は2011年(平成23年)に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表しました。
これは、主に新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金額の目安を示し、売主の不動産会社(デベロッパー)から提示される修繕積立金の額の水準について判断する参考材料にしてもらうことを目的にしています。
具体的な金額(平均値)は、階数と延床面積に応じて次のようになっています(カッコ内は70u換算)。
<15階未満>
延床面積 5000u未満 218円/u・月(1万5260円)
同 5000〜1万u 202円/u・月(1万4140円)
同 1万u以上 178円/u・月(1万2460円)
<20階以上> 206円/u・月(1万4420円)
さらにこのガイドラインでは、機械式駐車場がある場合には加算が必要としています。
しかし、私たちがこれまでコンサルティングを行ってきた分譲マンションでは、ほとんどがこの目安を下回っており、中には目安の半分程度の水準のケースもありました。
日経が報じた「75%」という割合でもまだ少なすぎるのではないかというのが、正直な感想です。
日々のマンションライフにおいて、修繕積立金の不足はなかなか実感しにくい問題ですが、じわじわと管理組合の財務を蝕み、気が付いたときには大変な事態、例えば修繕積立金の大幅引き上げや一時金の徴収といった問題につながりかねません。
一方、早い時期から管理委託費の見直しなど、できるところから対策を講じている賢い管理組合もあります。
大切な財産であるマンションの資産価値を守るためにも、多くの管理組合と区分所有者のみなさんが早くこの問題に気付かれることを願っています。 |