こんにちは。SJS社長の廣田晃崇(ひろたてるたか)です。
東日本大震災の各種復興工事が始まった頃から、建設工事のコストがどんどん上がってきています。
最初は職人などの人手不足が大きな要因でしたが、その後、アベノミクス効果で円安が進んだ影響で建築資材が値上がりし、さらに景気回復とともにオフィスビルなどの建築工事自体も増えているためです。
特にマンションの新築工事費の値上がりは顕著で、この2、3年で2割程度アップしています。
http://www.kensetu-navi.com/bunseki/bukka_shisu/pdf/bukka_shisu_1409.pdf
個別には、もっと高くなっているケースもあるようです。 そこで気になるのが、大規模修繕工事をはじめとする修繕工事費です。
「新築工事費が上がっているのだから、修繕工事費もアップしているのでは?」
とみなさん、思うのではないでしょうか。 しかし、結論からいうと、修繕工事費はあまり上がっていないようです。なぜか? 実は、マンションの新築工事費と修繕工事費は、工事の内容も発注の仕方もかなり違います。
新築工事の場合は、一棟まるまる新しく建てるため全体の工事費が大きくなり、不動産会社が建設会社を競わせて発注します。
しかも、リーマンショック後の景気低迷で、建設会社はどこも受注が減り、新築マンションは数少ないまとまった仕事として赤字覚悟で引き受けていたのです。 現在、マンションの新築工事費が上昇しているのは、安くなりすぎていたものが適正水準に戻った分もかなり含まれるのです。 これに対して修繕工事は、建物や設備の不具合を直したり、新築当初の性能・状態に戻すために行ったりするものです。工事の規模がずっと小さく、また特に重要なのは管理組合が費用を負担するとうい点です。 そのため、新築工事と比べると利幅が大きく、これまでもさほど安くなっていたわけではありません。
注意すべきは、新築工事費が上昇しているのを口実に、修繕工事費についても値上げする動きが出てくることです。
割高な修繕工事の見積もりが増える可能性は十分あると思います。 これから修繕工事を行うマンションでは、見積もりのチェックが重要になります。
専門家をぜひ活用すべきだと思います。 |