最近、管理会社の合併や経営統合の動きが相次いでいます。
昨年2月には業界3位の東急コミュニティが、コミュニティワンなどを傘下に持つユナイテッドコミュニティーズを子会社化。現在、東急コミュニティグループが管理受託しているマンションは全体で45万戸を超え業界トップです。
続いて昨年4月には、大京系の大京アステージとジャパン・リビング・コミュニテイが合併し、合計の管理戸数がやはり45万戸近くに達しています。
今年3月になると、今度は三菱地所と丸紅が持ち株会社を新設し、三菱地所コミュニティ(元藤和コミュニティ・三菱地所コミュニティ)と丸紅コミュニティの経営を統合すると発表しました。
丸紅コミュニティは実質上、三菱地所グループに入り、グループ合計での管理受託戸数は30万戸近くになります。
さらに4月には、大和ハウス系の大和ライフネクスト(元コスモスライフ)とダイワサービスが来年4月に合併することを発表しました。両社合わせた管理戸数は23万戸超の見込みで、他のグループ企業も併せると30万戸を超えます。
こうした合併や経営統合の動きは、事業運営の効率化や収益基盤の強化を図るためとされます。
管理会社が手掛ける業務は、フロントマンや管理員によるマンションの現場でのものが中心ですが、機械式警備、エレベーターや機械式駐車場のメンテナンス、消防設備の点検など様々な業務を下請けの専門会社に任せており、まとめて発注すれば単価を下げることができます。
また、管理費などの収納代行や現場をバックアップするITシステム、本社の管理部門についても、まとめれば規模のメリットが働きます。特にITシステムは業務の効率化や業務品質の維持に欠かせないため、各社ともレベルアップに努めています。
現在、マンションの管理会社は2300社ほどあります。これまでは労働集約的なサービス業として、特に大規模な設備投資が必要ということもなく、提供するサービスの種類もほぼ同じで比較的参入しやすい業界でした。そのため、大手から中小、零細まで非常に多くの管理会社があったのです。
しかし、人口減少や少子高齢化が進む中、今後は人材の確保や育成も含めて一定の企業規模がないと対応できません。
数年前から中小の管理会社の吸収合併が進んでおり、それがいよいよ大手にも波及してきたと言えるでしょう。
今後、管理会社はますます寡占化していくでしょうが、それには現場のフロントマンや管理員の確保とレベルアップが欠かせません。
企業が合併すれば数字上は「足し算」になりますが、サービスレベルがアップするためには様々なレベルでの「掛け算」がうまくいく必要があります。
そこでつまずくと、むしろレベルダウンも起きかねません。
管理組合のみなさんはその点をよく見ていく必要があると思います。 |