大規模修繕工事を行うタイミングについては、それぞれのマンションにおいて新築分譲時に売主のデベロッパーが作成する「長期修繕計画」で設定されており、一般的には10〜15年周期が多いようです。
また、この長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額も算出されています。
しかし、大規模修繕計画はあくまで予定であり、立地状況や普段のメンテナンスなどによって、建物や設備の劣化の進み方は異なります。
長期修繕計画で設定されたタイミングになると、管理会社からよく「そろそろ大規模修繕工事をしましょう」といった話が出ますが、本当にそうかどうかは慎重に判断すべきです。
長期修繕計画で設定されたタイミングが3年後くらいに来る時期になったら、理事会の諮問機関として大規模修繕工事の専門委員会を立ち上げ、マンションの所有者の中から理事経験者や建築関係の専門家などを募るとよいでしょう。
そして、この専門委員会が中心となって、「建物診断」を外部の専門家に依頼することをお勧めします。
建物診断は、建物や設備の劣化状況を専門家が目視で検査したり、検査機器を使って調べたりするもので、集めた情報やデータに基づき、最も効果的なタイミングを検討します。
ある程度コストはかかりますが、想定以上に劣化が進んでいる箇所を発見したり、逆に劣化がさほどでもないことが分かれば、時期を後ろにずらすことが可能かもしれません。
「大規模修繕工事」で大事なのは、適切な時期に、適切なコストで行うことです。 |