少し細かい話になりますが、国土交通省が公表している『マンション標準管理規約』では、専有部分は「住戸番号を付した住戸とする」とし、さらに共用部分との境界について次のように規定しています。
- 天井、床および壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする
- 玄関扉は、鍵および内部塗装部分を専有部分とする
- 窓枠およびガラスは、専有部分に含まれない(つまり共用部分)
これは、基本的に「上塗説」を採用したものです。
初めて聞く人にはやや違和感があるかもしれませんが、各住戸の玄関扉やサッシの窓枠、ガラスは共用部分ということになり、勝手に手を加えたりすることはできません。
例外的に、玄関扉の鍵と室内側の塗装は専有部分なので、所有者の判断で交換や塗替えが可能ということになります。
『マンション標準管理規約』ではまた、機械室、パイプスペース、メーターボックスやインターネット通信設備、ケーブルテレビ設備、オートロック設備などについては、専有部分と共用部分に分けて考えることは合理的ではなく、またメンテナンスの責任などの点から、住戸内に設けられているものも含めて全体が共用部分とされています。
これに対して、給排水管は接合部分が多く、メンテナンス費用や損害発生の場合の責任も比較的明確にできるということで、『マンション標準管理規約』では、専有部分と共用部分に分けています。
具体的に、給水管についてはメーターボックス内にある本管から量水メーターまでが共用部分、メーターから先の各蛇口までが専有部分です。
排水管については、パイプスペースにある竪管から各住戸の横引き管の継手までが共用部分、その先(横引き管)が専有部分となります。 なお、築年の古いマンションの中には、排水管(横引き管)が床コンクリートを貫通し、下の階の天井裏を通っているケースがあります。
こういう場合は共用部分とする判断が、最近の最高裁判例で示されています。 |