区分所有法で定められている総会の運営方法を、ここで簡単に整理しておきましょう。
<招集権者>
総会を召集するのは、原則として管理者(理事長)です。ただし、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を持つ者は、管理者に対して議案を示して集会の召集を請求でき、また一定期間内に召集通知が行われなかったときは、自ら総会を招集することもできます。
<召集通知>
総会の開催日から原則として1週間以上前に、会議の目的となる事項(議案)を示して、各区分所有者に通知することが必要です。これは、区分所有者にあらかじめ議題について調べたり意見をまとめたりする時間を与え、また出席するか委任するかなどの判断材料としてもらうためです。
実際の総会ではよく、参加者から緊急提案がされて議決するケースがありますが、これは原則として無効です。例外的に、区分所有者が全員出席している総会で、全員の同意があれば有効と考えられます。
<議事運営>
総会では通常、理事長が議長を務め、議題の順に報告や議論を行っていきます。書記などは理事の中から決めておきます。
また、管理会社からフロントマンなどが出席して、アドバイスするのも一般的です。
<議決>
総会での議決には、「特別決議」と「普通決議」があります。
「特別決議」とは、区分所有法上、規約の改正や大規模修繕、建て替えなど区分所有者の権利関係に重大な影響のある事項について、原則として区分所有者および議決権の「4分の3以上」ないし「5分の4以上」の賛成が必要とされるものです。また、規約改正と大規模修繕では、特定の区分所有者に特別の影響が及ぶ場合、その承諾も必要とされます。
ここで注意しなければならないのは、特別決議の要件は強行規定であることです。規約で別の定めをしても無効となります。
「普通決議」は特別決議以外のもので、区分所有法では区分所有者の人数と議決権(専有面積割合に応じた共有持分)のそれぞれについて「過半数」の賛成でよいとしています。また、普通決議については、規約で別の定めにすることもできます。
国土交通省が公表している『マンション標準管理規約』でも、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席した上で、出席組合員の議決権の過半数で決するとしています。つまり、普通決議については、議決権全体の4分の1強で可決することもできるわけです。
なお、議決権の行使は、書面や委任、代理でも構いません。
さらに、区分所有法の改正によって、電磁的方法(インターネット)による議決権行使も、規約の改正や総会の決議を経れば、可能になりました。
<記録>
総会が終わった後、議長(理事長)は議事録を作成しなければなりません。実際には管理会社が理事長の代わりに作成するのが一般的で、議長及び総会に出席した組合員2名が署名・押印します。
議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載しなければなりません。
議長が議事録を作成しなかったり、記載すべき事項を記載しなかったり、虚偽の記載をすると、区分所有法により20万円以下の過料に処せられます。 |