理事会こそが管理組合のエンジン役です。
管理組合がマンション管理の主体であり、総会が最高意思決定機関であるとはいえ、実際に管理組合としての方針を考えたり、具体的に問題を処理したりしていくのは理事長を中心とした「理事会」です。
たとえば、総会では、あらかじめ区分所有者全員に通知された議案でなければ決議できません。
その議案は通常、理事会で作成、決定します。管理会社と日頃からやり取りするのも、理事会です。
法律上の規約はなく管理規約で設けられる組織
ところが、『区分所有法』には理事会についての規定はありません。
管理組合の組織について規定があるのは、総会(「集会」)、理事長(「管理者」)、理事(管理組合法人の場合)ぐらいです。
理事会は管理規約によって設けられた機関であり、理事会の構成、会議の方法、決議方法なども規約で定めればよいのです。
最近は、管理の実効性を確保するため、理事会により大きな権限を与える方向にあります。
国土交通省が公表している『マンション標準管理規約』でも、管理費未納者への支払い請求、規約違反者への差し止め請求、不法行為者への損害賠償請求などについて、理事会の決議さえあれば理事長が法的手続きを行えるという項目を入れています。
このように大きな役割を担う理事会の運営では、理事長の役割が重要です。理事長の力量、リーダーシップによって、理事会はもちろん管理組合の活動のレベルは全然違ってきます。
しかし、何もかも理事長が言い出し、決めるというのも良くありません。
理事長が独断専行したり、理事長の考えにひきずられすぎたりする管理組合では、往々にしてトラブルが起こります。
大切なのは、理事会全体が活性化することです。
理事それぞれに担当業務を割り振ったり、規模の大きいマンションならペット、駐輪駐車、滞納などテーマ別に専門委員会を設けたりするといいでしょう。
分譲から2年くらいは毎月開催し役員報酬の検討も
理事会の開催回数は、マンションの規模や役員の意識によります。
しょっちゅう開けばいいというわけでもありませんが、分譲から2年間くらいはマンション管理にとって非常に重要な時期なので、最低でも月1回は開きたいものです。
この時期に管理委託費の見直し、建物のアフター点検、管理組合のルールづくりなどをしっかりやらないと、後はズルズル先送りになってしまいます。理事会の活性化に関連して、役員には報酬を出すようにし、金額も規約で明記すべきだと当社では考えています。
役員はボランティアだという意見もありますが、実際には時間的な負担が大きく、様々な出費も伴うからです。
金額の目安として、理事長は1カ月1万円、理事や監事には数千円程度はどうでしょうか。もちろん、それに見合う活動をしているか、他の区分所有者が関心を持ってチェックすることも欠かせません。
あるいは、理事がなかなか集まらないため、理事会に1回欠席すると1万円の罰金を徴収することを総会で決めたマンションもあります。そこまで極端なことをする必要はありませんが、理事会の活性化のためいろいろ工夫することはとても重要です。
●理事会の主な役職とその役割
細則の種類 | 細則に定める内容 |
管理組合選挙細則 | 管理組合の役員の選挙に関する事項 |
会計処理細則 | 駐車場や集会所などの施設利用料の料金徴収方法など会計処理の詳細について |
管理費等の滞納の督促及び延滞均等の 徴収に関する細則 |
督促の手続き、延滞金の計算、督促、収納までの間に要した費用の徴収などについての必要な事項 |
管理組合業務委託細則 | 管理組合業務の一部を第三者に委託する場合の必要事項 |
諸届出に関する細則 | 長期不在の場合、賃貸する場合など、管理組合に対して必要な届出に関する事項 |
修繕委員会細則 | 計画修繕などを実施する場合に、理事会を補佐し助言する諮問委員会の設立・運営に関して必要な事項 |
駐車場使用細則・集会所使用細則・ 自転車置場使用細則 |
使用料を徴収して運営する施設(駐車場、集会所、自転車置場など)についての利用申し込み、使用方法、契約内容などに関する事項 |
ペット飼育細則 | 管理規約でペットの飼育を認める場合に、動物の種類及び数の制限、管理組合への届出、飼育方法等の事項 |