マンション管理を見える化する「スマート・システム」の意義とは?
こんにちは。SJS社長の廣田晃崇(ひろた てるたか)です。
前回、マンション管理の質を高めるためには客観的な資料やデータが欠かせないことに触れ、そのためのひとつのツールとして当社が開発した「スマート・システム」をご紹介しました。
このシステムでは、マンションで日々行われている管理業務を対象に、詳細なデータを収集分析します。
そもそも、管理員や清掃員が行う業務は予め、何曜日の何時から何時まで、どこで、どういうふうに、何人で行うか、詳細に決めておく必要がありますが、この「業務仕様」が曖昧なマンションが少なくありません。
さらに問題なのは、業務仕様が決められていたとしても、実際にその通りに行われているかどうか、自己申告の日報があるくらいで、客観的なチェックはまったくされていません。
この点、「スマート・システム」では、具体的な業務仕様があることを前提に、担当者がそれぞれの日に行う業務をマンション別の専用サーバーにインターネット経由で登録します。
そして、現場では専用のバーコードリーダーとQRコードを使って作業の位置や作業内容を入力し、あらかじめ登録された予定と照合することで勤怠状況や進捗状況を把握します。
こうした「スマート・システム」の仕組みに対しては、業務の回数や時間などの「量」を測定するだけで、業務の「質」まで測れないのではないかという指摘を受けることがあります。
しかし、従来は「量」すらチェックできていなかったのです。客観的なデータとして「量」を測定することの意義は大きいと言えるでしょう。
また、「スマート・システム」では、マンションの居住者のみなさんに定期的に清掃状態などの満足度調査を行います。その結果を「量」のデータと組み合わせることで、どの業務をもっと手厚くするべきか、どこは削減しても問題ないのか、などがわかってきます。
それによって、各マンションの実情に合った業務内容の見直しを行うことも可能になります。
「スマート・システム」に対してはまた、管理業務を行っている管理会社でもシステムとして提供することは可能であり、わざわざ弊社のようなコンサルティング会社に頼まなくてもいいのでは、といった意見があります。
しかし、「スマート・システム」は、第3者が提供するシステムにより、管理組合自身が管理会社の業務をチェックする点に特徴があります。
大手管理会社ではすでに、ITを使ってフロントマンや管理員の勤務状況などを把握するシステムを持っていますが、その情報を外部(管理組合等)に提供することはしていません。
社内で用いる場合と外部(管理組合等)がチェックに用いる場合では、システムの設計や仕組みが違うからです。
管理組合自身が、管理業務をチェックする独自のツールを手に入れられるところに、「スマート・システム」の最大の意義があるのです。