リプレイスのメリットと注意点を理解しておきましょう
こんにちは。SJS社長の廣田晃崇(ひろた てるたか)です。
最近、管理会社の変更(リプレイス)に踏み切るマンションが増えています。
きっかけは、管理会社の対応に問題があったり、管理委託費が高すぎるのではないかといった疑問です。
もちろん、いままでの管理会社に改善を促したり、金額の引き下げを交渉したりすることもできます。
マンションの所有者のみなさんやその集まりである管理組合として、それで納得するのであればよいと思います。
しかし、管理会社の対応の問題は通常、フロントマンという担当者の資質や態度が原因なので、フロントマンが交代しないとなかなか解決しません。
また、新しいフロントマンが来ても、前と同じようなレベルではむしろ問題はこじれてしまいかねません。
管理委託費の引き下げについても、いままでの管理会社は容易に応じようとはしないものです。
「はい、わかりました」とばかりに2割も3割も下げたのでは、いままでの料金設定がなんだったんだということになってしまいます。
ですから、通常は「いままでも精一杯努力してきました。これ以上は無理です」と泣きつかれ、せいぜい5%とか10%といった丸めた数字で押し切られがちです。
これに対してリプレイスは、新しい管理会社をゼロ・ベースで選ぶものです。管理組合として、自分たちの基準で新しく選べるというのは大きなメリットでしょう。
これまでの経緯やしがらみがない分、「こんなフロントマンに担当してほしい」と要望して構いませんし、管理委託費も現状の相場をベースに見積もりをとるので大幅に安くなったりします。
しかし、注意点もあります。
たとえば、管理委託費が安くなると同時に、管理の質も同じように下がってしまうケースです。
あるマンションでは、とにかく金額を重視して一番安い管理会社にリプレイスしたところ、派遣されてきた管理員は未経験の高齢者で、そのことにクレームをつけると会社側は「この金額で文句があるならやめる」といわんばかりの対応だったとか。
リプレイスしたばかりでまた新しい管理会社を探すのは面倒だし、管理委託費も引き上げないといけないため(そうしないと他に引き受けるところがない)、結局、そのままになったそうです。
これが「安かろう、悪かろう」の典型的なパターンです。
最近は、金額だけではなく、業務の質にも注目して、「どんな改善提案をしてくれるか」「フロントマンや管理員のレベルはどうか」といった点を考慮してリプレイスを行おうという管理組合が出てきました。
リプレイスはあくまで、マンション管理の「質」を高め、居住性と資産価値を維持するための手段のひとつということを忘れてはいけません。