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株式会社ソーシャルジャジメントシステムマンション入門 引渡し 2年目の「アフター点検」が建物の質を左右します。

引渡し 2年目の「アフター点検」が建物の質を左右します。

「アフターサービス」は、売主のデベロッパーが購入者へのサービスとして行うものです。
通常、完成から2年間に限られるので、不具合をきちんとチェックしなければなりません。

総会などで話題になることはまれ

新築マンションでは、売主であるデベロッパーが「アフターサービス」を付けています。
これは、引渡しから一定期間内に建物や設備に不具合があった場合、デベロッパーが無償で補修するという約束です。
しかし、区分所有者や管理組合がきちんと指摘することがアフターサービスの前提であり、デベロッパーが自ら進んで点検してくれるとは限りません。
通常、1年目とか2年目といった時期になると、デベロッパーから依頼を受けた管理会社がアンケートを配ります。その内容をみると、「何か不具合はありませんか」とだけしか書いてないことが多いようです。
多くの区分所有者は、自分の住戸(専有部分)で目につくところはそれなりに記入するでしょうが、表から見えない部分、特に共用部分については、あまりチェックしないのではないでしょうか。管理組合の総会や理事会でも、アフターサービスが話題になることはまれです。
これは、非常に残念であり、また危険なことです。マンションに限りませんが、建築物は一般に、さまざまな種類の素材や部材を使い、多くの職人が現場作業で作り上げるものです。
工場で生産される自動車や家電製品と比べると、どうしても不具合(明らかな欠陥というほどではないものの、本来の機能や性能が発揮されない状態)が起こりやすいといえます。
とすれば、それをきちんとチェックし、アフターサービスで直してもらうことが重要なのです。

外部の専門家に依頼するのがおすすめ

不具合などが明らかになると建物の価値が下がるといった意見も聞きますが、全く逆です。
アフターサービスの期間を過ぎると補修が有料になってしまうことがありますし、将来の大規模修繕の時期が早まったり、大規模修繕の費用がアップしたりするかもしれません。
アフターサービスの期間中に不具合などをチェックし、建物や設備をきちんとした状態にしておくことが、マンションの資産価値を維持することにつながるのです。
では、管理組合としてどのようにアフターサービスの点検をしたらいいのでしょうか。
当社では、管理会社以外の外部の専門家に依頼することをお勧めします。
そもそも、建物や設備をチェックするには、専門的な知識と装置が不可欠です。管理組合の役員などが自ら行うには限界があります。かといって、管理会社に任せるのもやめたほうがいいと思います。
確かに、管理会社なら無料でアフター点検をやってくれたり、そのマンションの情報に通じていたりということがあるかもしれません。
しかし、管理会社の立場は管理組合の利益と実質上、相反することが少なくありません。
考えれば簡単なことです。ほとんどの管理会社は、アフターサービスの責任を負うデベロッパーの系列か、ないしはデベロッパーから仕事をもらった立場です。
デベロッパーに不利になるような行動はとりにくいでしょう。
中には、明らかな不具合が見つかっても、管理会社がもみ消そうとするケースがあります。

瑕疵担保責任の追求も

アフターサービスとは別に、建物に欠陥などがあれば法定責任を問えることがあります。
ひとつは民法の瑕疵担保責任に基づくものです。
民法上、売買の対象物件に隠れた欠陥(「瑕疵(かし)」といいます)が存在する場合、買主がその事実を知ったときから1年間、売主に損害賠償責任などを追求できます。
ただし、法律上、売主が不動産業者の場合は責任を負う期間を2年まで短縮でき、新築マンションでは2年間とするのが一般的になっています。
もうひとつの法定責任は、平成12年に施行された『住宅品質確保促進法』(品確法)に基づくものです。
こちらは民法の例外にあたり、引渡しから10年間、買主は売主に対して無料補修が請求でき、特約による範囲や期間の限定は認められません。ただし、対象となるのは新築住宅の構造部分の瑕疵に限られます。

このように、管理組合にとって強力な武器となる法的責任もいろいろ制約があり、アフターサービスがやはり重要であるといえるのです。

日頃立ち入ったことのない箇所こそ大事

アフター点検の主眼は、共用部分にこそあります。
よく考えると、マンションの構造体や設備の大部分は、共用部分です。この部分をしっかりチェックしなければ、意味がありません。
ところが、普通、入居者は「何か不具合はありませんか」とアンケートで尋ねられても、自分の家の中(専有部分)のことしか意識しません。ここにアフター点検の大きな落とし穴があります。
共用部分のチェックでは、日頃、立ち入ったり気にしたりしたことのないところ、たとえばエレベーター機械室、電気借室、屋上などをチェックしてまわることこそ大切なのです。

原因解明や交渉・補修後のチェックも必要

こうした箇所に不具合があるかどうか見分けるには、建築や設備の専門的な知識が不可欠です。
場合によっては、特殊な装置や機器が必要になることもあります。
さらに、不具合が発見された場合は、その原因を解明し、売主であるデベロッパーや工事を行ったゼネコンと補修方法などについて交渉し、補修の後にはちゃんと直ったかもチェックしなければなりません。
こうした作業を管理組合だけで行うのは通常、無理です。管理会社を頼りにするのも、売主であるデベロッパーとの関係から、難しいでしょう。
さらに、大掛かりな補修工事の場合は、再度アフターサービスの保証をつけてもらう交渉が必要になります。 やはり、外部の専門家に依頼して行うのが確実だと思います。