管理規約は「マンションの憲法」です。
マンション管理の主体である管理組合をスムーズに運営していこうとすれば、一定のルールをあらかじめ決めておくのが合理的です。そこで、『区分所有法』ではマンション管理に関わる基本的な事項を、管理組合の総会決議によって「規約」として定めておくことができるとしています。
規約に盛り込むのは通常、
- 共用部分の範囲
- 管理組合の業務内容
- 管理組合の運営方法
などです。
また、建物の専有部分は各所有者が管理すればいいので管理規約の対象外のようですが、共有部分や敷地との関係、区分所有者同士の関係などがあります。
そこで、規約によって専有部分に一定の制限を及ぼすことがあります。
たとえば、「専有部分を専ら住宅として使用し、他の用途に供してはならない」として、用途を制限しているケースは少なくありません。
このほか、それぞれのマンションの実状に合わせかなり自由に規約を定めることができます。
規約違反は差し止めや損害賠償の責任も
規約をいったん定めると、その効力はすべての区分所有者に及びます。
「自分は認めない、関係ない」といってもだめです。
売買で相続で後から区分所有者になった人にも、規約の効力は当然及びます。
マンションを借りた人も、建物や設備の使い方などに関しては区分所有者と同じ義務を負います。
もし、規約に違反した行為があった場合、管理組合はその差し止めや損害賠償などを請求することができます。
このような意味で、管理規約はそれぞれのマンションにとっての「憲法」といわれるのです。
新築時の管理規約の決め方は例外的
『区分所有法』では、区分所有者が集会を開催し、そこで管理規約を決めることを基本としています。
しかし、新築マンションの場合はほぼ100%、売主である不動産会社(デベロッパー)があらかじめ作成した規約案(原始規約案)を購入者に渡し、書面で全員の承諾を得るという例外的な方法がとられています。
所有者がまだはっきりしない段階で規約案を作成しなければならないため仕方ない面はありますが、デベロッパーやデベロッパーが選んだ管理会社の一存で策定されるため、問題も少なくありません。
たとえば、一部の区分所有者に有利であったり、予定されている管理会社に好都合な内容を盛り込んであったり、不公正な内容もあるので注意が必要です。
●管理規約についての法律上の規定
区分所有法第30条
建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
区分所有法第46条
占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
●管理規約で定めのできる事項
区分所有法で定められた内容以外の 定めができない事項(強行規定) |
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区分所有法で別段の定めができるとされた事項 |
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任意で定めることができる事項 |
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