マンション管理の主役が「管理組合」です。
よく、「マンションの管理は、管理会社がやるんでしょ?」とおっしゃる方がいます。
もしそれが、マンション管理の主役(主体)は誰かという意味なら、間違いです。
分譲マンションでは、建物の「専有部分」については、それぞれの所有者(区分所有者)が自分の責任と負担で管理するのが原則です。
一方、建物の「共用部分」や敷地については、区分所有者全員で「管理組合」という組織を結成し、管理組合が維持・管理を行うのです。つまり、「マンションの管理は、管理組合が行う」というのが正しいのです。
管理組合に入るのも抜けるのも自動的
民法の原則では、共有者は持分に応じて共有物の全部を「使用」できますが、「管理」については持分価格の過半数、「変更」を加える場合は全員の同意が必要とされます。
しかし、何十人、何百人もいる分譲マンションで、全員の合意がないと建物の共用部分や敷地に変更を加えられないとなると、大規模補修や建替えが事実上不可能になります。
そこで、区分所有法において特別の規定をおいているのです。
まず、区分所有法では「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成」するとしています。
この「団体」が管理組合です。
管理組合は、区分所有関係が生じた瞬間、つまり各住戸の所有者が別々に2人以上いるようになれば、特別の手続きなどなくても成立します。
管理組合は区分所有とともに法律上当然に生まれ、分譲マンションを購入した人は自動的にそのメンバーになるのです。
そして、マンション(各住戸)の区分所有者である限り、管理組合から脱退することはできません。
後からマンション(各住戸)の区分所有者になった人も組合員となり、逆に区分所有者でなくなった人は自動的に組合員の資格を失います。
管理組合がマンション管理を行い、管理組合はメンバーが変わっても、建物が区分所有されている限り、自動的に存在し続けるのです。
管理組合の業務範囲はフレキシブルに決められる
ところで、管理組合が具体的に何を行うかは、『区分所有法』でも特には決められていません。
集会での決議を基本とし、また「規定を定め」ることができるとしているだけです。
国土交通省が公表している『マンション標準管理規約』では、ひとつの目安として17項目の業務を定めています。
もちろんこれ以外でも、共有財産を管理する団体という性質から逸脱するものでなければ、ほかの業務を加えたりするのは自由です。
●管理組合についての法律の規定
区分所有法第3条
区分所有者は、全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規定を定め、及び管理者を置くことができる。
一部の区分所有者のみの共用に供されることが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。
●管理組合の業務例
- 管理組合が管理する敷地および共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
- 組合管理部分の修繕
- 長期修繕契約の作成又は変更に関する業務
- 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
- 適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
- 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
- 共用部分に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
- 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
- 敷地及び共用部分等の変更及び運営
- 修繕積立金の運用
- 官公署、町内会等と渉外業務
- 風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
- 防災に関する業務
- 広報及び連絡業務
- 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
- 管理組合の消滅時における残余財産の清算
- その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務