マンション管理コンサルティングのエキスパート・ソーシャルジャジメントシステム
Top

区分所有者の無関心(1)修繕積立金の値上げ予定を知らない

株式会社ソーシャルジャジメントシステムSJS社長ブログ 区分所有者の無関心(1)修繕積立金の値上げ予定を知らない

区分所有者の無関心(1)修繕積立金の値上げ予定を知らない

前回、マンション管理における一番の問題は区分所有者の「無関心」ではないかと申し上げました。
どんなところにそれが現れるのでしょうか。

今回、指摘したいのは、修繕積立金の値上げ予定を知らないということです。

修繕積立金の金額は分譲当初、管理費の金額とともに、売主の不動産会社(デベロッパー)が決めています。

多くの区分所有者は、「ローンの返済もあるし、毎月の管理費や修繕積立金はできれば少ないほうがいい」と考えがちです。

特に、修繕積立金は10数年に1回の周期で行う、大規模修繕工事に備えるためのお金で、すぐ必要になるわけではありません。

デベロッパーもなるべく「買いやすさ=毎月の負担の軽さ」を印象付けるため、修繕積立金の金額を抑えようとしがちです。

そこで具体的にどうするか。

将来必要になる大規模修繕工事の費用は、長期修繕計画に基づいて算出できます。
その費用を積み立てるにあたって、分譲から10年目くらいまでは金額を低くし、その後、段階的に値上げして帳尻を合わせようとするのです。
中には、分譲当初の4倍とか5倍まで値上げする想定のマンションもあります。

また、分譲当初に「修繕積立金“基金”」として、数十万円程度のまとまった金額を集めることでも、分譲当初の金額を抑えられます。
最近はおおむね、修繕積立金(月額)の70ヵ月分くらいが“基金”の平均だと思いますが、実質的に販売価格の値上と同じになるので、中には40ヵ月程度にしているマンションもあります(その分、将来の値上げ幅が大きくなります)。

現在、ほとんどの新築マンションが、この2つの方法を組み合わせているといっていいでしょう。

売主のデベロッパーが自分たちの都合(売りやすさ優先)で、できるだけ見た目の負担を低く見せようとしているかどうかが、この2つの数字(将来の値上げ倍率と基金の月額に対する倍率)を見るとわかります。

ところが、区分所有者の中には、こうした重要な情報に気がついていない人が結構いるのです。

特に問題なのは、将来の修繕積立金の値上げ予定です。
デベロッパーは販売時や引渡時に文書で説明したりするのですが、あえて積極的に注意喚起するわけではありません。
そのため、多くの区分所有者は無関心なまま、スルーしてしまうのでしょう。

やがて管理会社から、「修繕積立金がこのままでは不足するので、値上げが必要です」といった話が出てきて、驚くことになります。

さらに重要なことは、修繕積立金の値上げは、分譲当初にデベロッパーが想定していたり、購入者に説明していたりしたとしても、あくまで想定であって何の効力もないということです。

修繕積立金を値上げするには、管理組合の総会で、区分所有者の多数決で承認する必要があります。
急に修繕積立金の金額が4倍、5倍になるとしたらどうでしょう。
反対意見が多いと値上げできず、修繕積立金が不足し、必要な工事も行えなくなり…。

修繕積立金の金額が将来、どのような想定になっているのか、知らなかったではすみません。

必ず確認しておきましょう。