理事会サポートの現場から(2) 管理会社から補修工事や部品交換の提案があったとき
分譲マンションの管理組合向けコンサルティングのパイオニアであるソーシャルジャジメントシステム。
これまで20年以上、多くの管理組合とその理事会をサポートしてきました。
私たちが実際に行っているサポートの事例をご紹介します。
マンションも築10年を超えてくると次第に、建物や設備に経年劣化による不具合が出てきます(ここでは建築当初の施工不良や欠陥についての話は省きます)。
そうした場合、管理会社からは補修工事や部品交換などの提案が出てくることなります。提案自体は歓迎すべきですが、大事なのは理事会と役員がきちんとチェックすることです。
私たちがいつもアドバイスするのは次の3点です。
第一に、提案の根拠と提案内容が妥当かどうかです。
そもそも「どこ」に「どのような」不具合が発生しており、「原因」は何だと考えられるのか、マンション管理のプロである管理会社としての見解が示されるべきです。特に重要なのは「原因」についての説明です。ただ単に「直しましょう」「交換しましょう」では話になりません。
これは提案内容の妥当性にもつながります。補修方法や交換対象は原因によって変わってきます。対処療法では同じことが再発しかねません。
具体的には、修繕履歴を含めた写真付きの点検報告書が提出されており、不具合発生時期、状況、原因、どのような緊急対応をしたかが記載されているか確認しましょう。
また、緊急度、優先度、対策案など点検会社の見解が明示されているかどうかも重要なポイントです。
さらに、管理会社としての見解(不具合原因についての考察、他マンション事例など)、
提案内容(補修方法、交換部品、再発防止策)も確認してください。
第二に、理事会役員として最低限、理解しておくべきことがあります。
例えば、補修箇所や部品の機能です。判らなければ、必ず管理会社に写真などを含めて説明を求めます。
また、補修や交換しなかった場合どうなるのか、実施を遅らせた場合のリスク(安全性、金額、居住者影響など)についても理解しておきましょう。
第三に、見積書の確認です。
フロントから見積書の説明を受けた後、次の点を確認しましょう。もし、フロントや別の担当者が説明できなかったり、質疑対応できないなどの場合は、提案者が内容を理解していない証拠です。
- 工期(作業開始/終了時刻、仮設有無、資材仮置き場要否、居住者影響など)
- 人工(何人作業、警備員有無など)
- 数量(相見積取得時に必要/「一式」表記は出来るだけ無くす)
- 施工要領書(軽作業は除く)
- 施工費(工事代)以外の支出有無
- 保証期間(アフターサービス)
- 工事案内文書(掲示、配付用)
見積りについては、管理会社以外から相見積をとることも検討しましょう。一定金額以上の補修工事や部品交換については相見積もりを取るという定量的な基準を決めている管理組合もあります。